
「夫婦ふたりで力を合わせたほうがトクになることって、けっこう多いんですよ。ひとりで先走らずに、何ごともじっくり話し合ってから実行」 ローンを利用して住宅を取得すると、年末のローン残高に応じて所得税が戻ってきます。これが住宅ローン控除という制度。
2007年にマンションを購入した吉川さんは、毎年20万円前後の所得税を納めています。「住宅ローン控除で所得税が全額戻ってきて大喜びしていたんです。ところが先日、友人から『共働きなら奥さんも控除を受けられたのに』って言われて・・・」と吉川さん。いったい、どんな失敗をしてしまったのでしょうか。


2007年に2600万円の住宅ローンを借りた吉川さん。住宅ローン控除の期間は10年と15年の選択制。吉川さんは、控除率が高く、自分が毎年納めている所得税20万円前後が全額戻ってきそうな10年のほうを選びました。
吉川さんの2007年末のローン残高は約2550万円でした。期間10年を選んだ場合、上限2500万円のうち最初の6年間は1%が、その後の4年間は0.5%が所得税から控除されます。
「2008年の3月に確定申告をしたら、前年に納めた所得税が全額戻ってきたんですよ」と吉川さん。
ところが、吉川さんの喜びに水を差す情報が。
「共働きを続けるつもりなら、夫婦でローン控除を受けられた、というんです」

年末ローン残高が2550万円の場合、控除される税額の上限は25万円(※)。吉川さんが納めた所得税は21万円なので、戻る税額は21万円になります。しかし、吉川さんの世帯では、働いている妻も所得税を納めており、2007年の所得税額は13万円。夫婦で住宅ローン控除を受ければ、世帯での所得税の戻りを多くできる可能性があるのです。
※2007年に入居した場合の当初6年間の値。08年入居の場合は20万円

たとえば、吉川さんの場合、夫と妻の年収は6:4。頭金も夫6:妻4の比率で出し、マンションの所有権の持分割合を「夫6:妻4」で登記したとします。すると、ローン残高2550万円のうち夫分1530万円、妻分1020万円で計算され、それぞれの1%になる15万3000円(夫)と10万2000円(妻)の所得税が戻ることに。その合計は25万5000円。
つまり、夫だけが住宅ローン控除を受ける場合よりも、夫婦で控除を受けたほうが世帯では4万5000円多く所得税が戻ってきていたのです。
共働きなら必ず夫婦で住宅ローン控除を受けられる、というわけではありません。ふたりで控除が受けられるのは次の場合です。
1.夫と妻が連名でローンの契約をする連帯債務者になる場合
2.夫と妻がそれぞれに自分の名義でローンを借りる場合
控除が受けられないケースというのは、たとえば、妻の収入を夫の収入に合算し、夫の名義のみで住宅ローンを借りた場合など。妻はローンの「連帯債務者」ではなく「連帯保証人」になるため、住宅ローン控除は受けられないのです。
夫婦で住宅ローン控除を受ける際、年末のローン残高に対する控除の割合をどう分けるかは、住宅を登記したときに決めた所有権の持分割合によります。

このような条件を満たし夫婦ふたりで控除を受けることで、ひとりの場合よりも多く税金が還付される可能性があります。ただし気をつけたいのは、出資と所有権の持分の割合。夫がひとりでローンを組んで、所有権を夫婦で共有にする場合、頭金や年収の割合に合わせて所有権の持分割合を決めなければ、出資額が少ないのに持分の多いほうに贈与税がかかる可能性があります。
また、今後のライフプランも考えておきましょう。妻が仕事を辞め、所得税を納めない立場になったときは、戻ってくる世帯での所得税は減ってしまいます。
「うちは、ずっと共働きを続ける予定なんです。ひとりより夫婦ふたりのほうが10年間の控除額は多くなりそうなので、損した気分です・・・」
と吉川さんは残念そう。
・夫婦で住宅ローン控除を受けるなら共有名義にしたうえで、連帯債務にするか、それぞれにローンを借りるべし
夫ひとりでローンを借り、マンションも夫婦の共有名義ではない吉川さんの場合、確定申告の段階で「夫婦で控除を受ければトク!」と気がついても実は手遅れでした。
夫婦で控除を受けるなら、ローンの申し込みや登記のときからどうすればトクになるかを考えておきましょう。
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